村での生活、一問一答

 

村の子供たちは皆可愛い。

 

父:村の人は洗濯や、食器洗いはどうするの。

娘:どちらも部落の中を流れている川で洗うの。

父:シャワーとかお風呂は。

娘:川の中で洗うの。女性は身体の線を見せてはいけないというので服を着たまま川に入って、石鹸をつけてジャブジャブと身体を洗うわけ。家に戻って着替えて、濡れた服は家の床下につるしておけば、すぐ乾くし。でも皆髪の毛にシラミを飼ってたわ。

父:ふーん。身体も服も一緒に洗ってしまうわけね。ところでトイレはどうなってるの。

娘:村の人たちは、ジャングルの中で適当にやってるみたい。わたしが来るというので、ホストファーザーのトーマスがトイレを作ってくれたの。庭に穴が掘ってあって、その周りを木の板で囲ってあるわけ。入り口のところに、最初はカーテンみたいな布が掛けてあったんだけど、ある日学校から帰ると、ちゃんとチョウツガイの付いた木の扉がついていた。トーマスがつけてくれたわけ。あれには感激したわ。

父:蚊には刺されなかった。お父さんがソロモンへ行ったときには食われまくったけど。

娘:私もいっぱい食われた。お父さん見てよ。(彼女はズボンをめくり上げる。)ほらほら、ここと、ここと、ここと、いっぱい。まだ痒いわ。(ボリボリ)夜は蚊帳を吊って寝るからそれほどでもないけど。蚊はまだいいのよ。赤いアリが家の中をウロウロしていて、これに噛まれると、腫れてすごく痛いのよね。

父:電灯がないと夜は暗いんだろうね。

娘:一応家に石油ランプがふたつあるんだけど、ぼんやりと薄暗いし、とても本なんて読めないわね。真夜中は「ピッチ・ダーク」(鼻をつままれても分からないくらい)。月や星があんなに明るいものだとは思わなかったわ。一度、ガソリンが手に入ったということで、発電機を回したの。家に電灯がついて、ビデオゲームなんかもできる。一時的だけど。そのとき、電灯って本当に明るいものだと思った。

父:お父さんのトーマスは何か仕事をしているの。

娘:昔はしていたみたい。その時は現金収入があって、ガソリンが買えたので、頻繁に発電機を回せたみたい。でもいまは無職。ベティヴァツ学校の運営委員はしてるみたいだけどね。週に三回くらいホニアラに出て、買い物したりするのが、トーマスの仕事といえば仕事ね。でも、お金がなくても、食べるのには全然困らないわ。ココナッツやバナナはどこにでもあるし、野菜は皆自分たちで作っているしね。

父:いつも米とイモと野菜と果物を食べていたわけ。

娘:インスタントラーメンも結構食べたわ。日本みたいにお湯を沢山入れないで、焼きソバとラーメンの中間みたいなものを作るの。それをおかずにご飯を食べるのよ。でも、これにツナ缶とキャベツなんかを混ぜると結構美味しいわ。水がないとき、インスタントラーメンの麺に粉末スープを振りかけながら、ガリガリかじっている人もよくいたわ。

 

村はクローバの絨毯で覆われていて、裸足で歩くと気持ちが良い。

 

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