もうひとりの知人

 

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サッカーをしていたお兄ちゃんたち。ご自慢のシューズらしい。(大抵は裸足でやっている。)

 

 昼過ぎにホニアラに戻り、夕方までまた眠る。昨夜から下痢。タンタン麺に唐辛子を入れすぎたせいだろうか。何となく身体が自分のものでないような感じが抜けない。とにかく、「正露丸」を貪り食い、今日も無理をせず、眠って身体を休めることにする。

 その日の夜には、ソロモン諸島で「もうひとりの知人」に会うことになっていた。前述のTさんだ。妻の友人で、かつてロンドンへ留学していたカナちゃんという女性がいる。そのカナちゃんが十一月に英国に来たとき、我が家へ遊びに来てくれた。彼女は音楽家で、いつも歌や楽器で家族を楽しませてくれる。その時、妻が彼女にこぼした。

「主人ったら、クリスマスに家族を置いて、独りで遊びに行くんですよ。それも、ソロモン諸島とか言う所へ。」

カナちゃんが言った。

「実は、うちの父、ソロモン諸島で働いているんです。」

最初は冗談だと思った。

「うっそ〜。」

これがニューヨークとか、ロンドン、パリ、北京くらいならば、まだあり得る。しかし、ソロモン諸島と言うのは・・・しかし、これは事実で、カナちゃんのお父さん、Tさんはホニアラにある日系企業の所有するホテルの支配人をされていた。早速、Tさんのアドレスをカナちゃんに教えてもらい、メールを打つ。返事が来て、是非会いましょうということになり、その日、Tさんのホテル(ホニアラで一、二を争う高級ホテルなのだが)での夕食に、G君共々招待されていたのだ。

 ホテルに着くと、ロビーでTさんが待っておられた。暑いところへ来て、体調の維持が大変とおっしゃるわりには、なかなか恰幅の良い人物だ。三人でホテルのレストランへ行く。レストランでは日本食が食べられる。(Tさんは不出来な料理でと、恐縮しておられたが。)このホテルのレストランは結構ソロモン在住の日本人がよく来られるみたいで、Wさん夫妻にもお会いした。

ホテルでそこの支配人と一緒にお食事というのも、滅多にできる体験ではない。キビナゴのような小魚の天ぷらとカツオの刺身の前菜の後、すき焼きをご馳走になった。ガダルカナル島でのすき焼き、これはさすがに予想だにしていなかった。

Tさんは某航空会社に定年まで勤めておられた関係で、世界各地でお住まいになっていた。そう言う意味で、海外生活の長いG君と僕とは共通の話題があり、お話をしていて楽しかった。今回、ここでTさんにお会いしていること自体、偶然と言うか、運命のいたずらと言う気がする。しかし、Tさんは、これまで何回も、こんなことを経験されたとのことだった。

G君と僕は十時頃にTさんとお別れし、外に出た。ソロモン諸島へ来て、南十字星を見たいと思っていたのだが、あいにくホニアラは島の北側にあり、南側には高い山が聳えており、南側の星は見えない。空を見上げると、満点の星の中に見慣れたオリオン座が見えた。

 

 

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支配人のTさんと。この後、予想だにしなかったすき焼きを食べた。

 

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