ああ勘違い

 

    

イスタードの街の修道院と、メインストリート。

 

スツルップ空港で、自分の乗る飛行機をモニターで探す。ストックホルム行き以外の飛行機が見つからない。おかしい、まさかと思って、切符を確かめる。見ると、出発は翌日の日曜日だった。そう言えば、インターネットで予約したとき、最初土曜日の切符を取ろうとしたが、取れないので、日曜日の便にしたような記憶がかすかにある。ああ、勘違い。バスが無いのも当然、土曜日は夕方に飛び立つ飛行機がないのだ。

 

スリランガム以来の久しぶりの失敗。数年前、同僚の結婚式に参列するためインドへ旅したとき、朝の四時半に指定された駅のひとつ前で降りてしまった。自分も慌てたが、それ以上に、僕を駅で待っていた同僚を慌てさせた経験がある。それ以来の失敗。午後八時半だが、ともかく、今晩泊まるところを探さなくてはならなくなった。

 

その時、先程の中年のタクシーの運転手、ラリがトイレに行くのか、空港の建物の中に入って来た。彼に声を掛ける。

「ねえ、またマルメーまで、戻ってくんない。今日は飛行機ないんだって。」

彼は、いいよと言った。先程スウェーデンの金は彼にチップで全部上げてしまったので、ATMでまた金を下ろす。そして、ラリの車に乗って、再びマルメーへ向かう。

「どこか、安いホテル知らない?」

とラリに聞く。幾つか心当たりがあるから、当たってみると言う、頼もしいお言葉。ホテルが見つかるまで、どこまででも四百クローネで走ってくれるとのこと。

 

 結局、最初に行ってみた、高速道路を降りて間もないところにある安ホテルに空き部屋があり、そこで泊まれることになった。ラリに約束の四百クローネを払う。彼は、さっきチップを貰いすぎたからと言って、二十クローネを戻してくれた。

 

シャワーもトイレも共同のホテルであるが、ともかく、一晩落ち着ける場所が出来てほっとする。ガソリンスタンドでビールを買ってきて飲む。持ってきた本は読んでしまったので、ベッドでスウェーデン語の教科書を開いて読み始める。まあ、たまにはこんなこともあるさ。のんびりいこうよと、自分に言い聞かせる。

 

翌朝は八時ごろに起き、ホテルからマルメーの中心街まで、道を通行人に尋ねながら、一時間余りのジョギング。これでかなり街の地理が分かった。シャワーを浴びて、ホテルの隣のマクドナルドで朝食を取り、昼前にホテルを出てバスで駅に向かう。飛行機の飛び立つ午後十時までには、まだ有り余る時間がある。僕は駅のロッカーに荷物を置いて、昔の城塞の中にある博物館へ行った。町の歴史、地理の展示の他、自然科学系の展示や水族館まであり、規模は小さいが盛り沢山の博物館だった。寒い日曜日の午後と言うことで、家族連れで賑わっていた。

 

遅い昼食を駅前のタイ料理店で食べる。現在のタイ国王の写真とチュラロンコン国王の写真が店の正面に飾ってある、由緒正しいレストランだった。食事の後、まだ時間があるので、今度は電車でコペンハーゲンまで往復した。例の長い橋から見る夕日が綺麗だった。

 

     

「ヴァランダーはサーブと共に働いた」と書いてあるが、ヴァランダーの車はプジョーだったはず。   凍った小川が流れている。(いない?)

 

 

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