新装甲子園砂被り席

 

新装甲子園の内野席と銀傘。

 

木津温泉から帰った翌日、子供の日、甲子園球場へ行った。新装なった甲子園を見たいと思っていたのだが、ゴールデンウィーク中のゲームは切符の入手が極めて困難。それで、昼間の二軍戦にした。阪神タイガースの二軍戦は、普段、鳴尾浜球場で行われているのだが、ゴールデンウィーク中の広島カープとの三連戦は甲子園球場で組まれていた。

試合は昼の十二時半から。十時に烏丸駅から阪急電車に乗り、まずは大阪梅田に向かう。阪急電車にはもう何年も乗っていないが、特急電車の停車駅のパターンが大きく変っていた。さすがに阪急電車だけあって、電車内の中吊りは宝塚歌劇の広告だ。梅田で阪神電車に乗り換える。阪神の駅へ向かう歩道橋の上で雨が降り出した。雲はそれほど厚くない。雨が激しくならないことを祈る。阪神電車の中吊り広告はこれもさすがに阪神、「大阪対決」と書かれた真弓監督とオリックス梨田監督のものだった。

甲子園駅で降り、球場へ。何か変。ツタがない。外壁はクリーム色のタイルである。入場券を求める列の長さを見て驚いた。球場を丸三分の一周している。いくら休日といえども、二軍戦でこの観客数は異常だ。列の最後尾に付く。隣にならんだ中年夫婦が言った。

「こら、横浜球場の一軍戦より観客が多いわ。」

三十分ほど並んだ後、五百円で切符を購入。球場内に入る。バックネット裏の席だけが開放されており、全て自由席である。バックネットの後ろの中段に席を取る。椅子も広くなっており、前のものよりはるかに快適だ。屋根も広くなり、内野席をほぼカバーしている。柱も減り、なかなか見やすくなっていた。

阪神タイガースの先発はWBCのメンバーにも選ばれた岩田投手の調整登板。その他、メンチ、林(リン)選手など一軍でお馴染みの選手も先発している。バックネット裏が満員になり、試合開始後間もなく一塁側の内野スタンドも開放された。

二軍戦を選んで良かったことがある。それは自由席なので、文字通り自由に席が移動でき、色々な角度から試合を見ることができたことだ。甲子園には今年から「砂かぶり席」とも言える、バッターボックスのすぐ後ろの席が新設されたが、そこにも座った。ピッチャーが自分に向かって百四十キロの球を投げてくる迫力は相当なものである。キャッチャーが捕球したときの「パーン」という音も小気味よく響いてくる。ファールチップには、ネットがあるのが分かっていても思わず、身体をよけてしまう。おそらく、一軍線では、そのような席は年間予約席になっていて、一見の観客はとても座れないだろう。

また場所を変えて、内野スタンドから見るのも面白い。ピッチャーの球を横から見ることが出来、球速の変化が良く分かるからだ。百四十キロの速球の後、百キロのチェンジアップ。バッターが見事に空振りするのは見ていて面白い。

時々雨が降る。内野席はほぼ銀傘に覆われ、観客が濡れることはないが、気温が下がり、肌寒くなってきた。八回の裏が終わった時点で、僕は球場を出た。また阪神、阪急と乗り換え、京都に向かう。休日の午後とあって梅田界隈は大変混み合っていた。

 

砂被り席からの光景。迫力がある。

 

<次へ> <戻る>