仕事納めとテニス

 

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JICA事務所の仕事納め。左から、ジェームス君、W所長ご夫妻、レックス君、G君。

 

 十二月二十八日は官庁の仕事納めの日。JICAも外務省の団体であるので、この日が最後の仕事日だ。午後四時半に、G君とオフィスを訪れる。所長のWさんの奥さんも来ておられ、最後に「今年一年お疲れ様でした」のお茶の会となった。奥さんが日本から持ってこられたカステラとおかきを、日本茶でいただく。美味しい。現地人スタッフのジェームス君とレックス君も、

「これ何。」

とか聞きながら、美味しそうにカステラを食べていた。

 お茶会の後、Wさん夫婦と、G君と僕でテニスをした。これには結構辛いものがあった。夕方とは言え、まだ気温は三十度を超えている。冬の国から来た人間にはかなり厳しい条件だ。適当に手を抜いてボールを打ち返していると、そのうちWさんが

「試合しよう。」

と提案された。ぎょえーっ。三十分後、僕は完全にバテバテ。日陰に座り込む。G君も脱落。その後もWさん夫妻は玉を打っておられた。元気な人たちだ。南国に長くおられるWさんが元気なのは当然としても、僕と一緒にこちらに着いた奥さんの元気さには脱帽。

 六時頃にアパートに戻りシャワーを浴びた僕は、缶ビール「ソル・ブリュー」を立て続けに四本飲んだ。G君が僕のために二ダース買っておいてくれたビールも、僕が水代わりにがぶ飲みするため、残りが六、七本になってきた。(だって、本当に水みたいなビールで、全然酔わないんだもの。)その日の夕食は、昨日仕込んで置いたカツオのタタキ。ニンニクとショウガ、刻みネギ、レモン汁と醤油で食べる。それとナス田楽。美味い。

 夕食後、カツオのアラを煮てとったスープの、「残骸」の身と皮を、ベランダに遊びに来たネコにやる。カツオはネコにとってもご馳走のようで、美味しそうに食べていた。

 その夜、眠っていると雨音が聞こえる。ガダルカナル島に来て、初めての雨だ。かなりきつい雨のようだった。

 十二月二十九日。ソロモン諸島を去り、ブリスベーンに戻る日が明日に近づいてきた。朝から喉が腫れていた。朝食にカツオのスープで作ったおじやを食べたのだが、小骨で腫れている喉を傷つけてしまったらしい。唾を飲み込んでも激痛が走る。今日は一日、おとなしく休養しようと思った。

 家族への土産を買い足そうと思い、朝早くG君と中央市場に行く。また貝でできた首飾りをふたりの娘の為に買い、Tシャツを息子に買う。G君は事務所へ行き、僕はアパートに戻り、またソファに寝ころんでウトウトしていた。

 鎮痛剤を飲んだせいか、少し休んだせいか、喉の痛みは耐えられないものではなくなってきた。昼前に、職場から帰ってきたG君に、どこか近くの村を訪れて、写真を取りたいのだけどと、希望を述べる。G君は、クリスマス休みから帰ってきた女性隊員のOさんが、ホニアラの「すぐ近く」の今日彼女の任地の村に帰るので、彼女の村に行くのが良いのではないかと勧めてくれた。僕はソロモン諸島では「すぐ近く」が何を意味するのか、間もなく知ることになるのだが。

 

 

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島では、これも重要な交通手段。

 

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