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川合元博、書評のページ
ひとりの作家を読み始めたら、その作家の作品は読み尽くすという、「食いついたら離れない」、ブルドッグ式読書法の筆者。今のところ、文字通り、旅から旅への人生だけど、駅で、空港で、社中で、機中で、本さえあればそれで幸せな人間なのです。筆者の読書は主にミステリー、それも人間味のあふれるミステリー小説。読んでいる言葉は、第二の母国語であるドイツ語、それから時々英語。まだ日本語では翻訳の余り出ていない作家も含め、日本の皆様にヨーロッパの現代の作家をご紹介します。
Khaled Hosseini
(アフガニスタン/米国)
「凧を追う人」は米国でベストセラーとなる。アフガニスタン、カブールに暮らす、アミアとハッサンの物語。幼いふたりの友情と葛藤が、時間と空間を超えた壮大な物語へと発展していく。
Osman
Engin
(トルコ/ドイツ)
「千夜一夜勤物語」の作者のオスマン・エンギンは、一九六〇年トルコ生まれ、一九七三年、十三歳のときにドイツ移住ということなので、おそらく、出稼ぎの両親に連れられてドイツ
にやってきたのであろう。彼は、テレビラジオなどで、風刺に満ちた作品を発表している。この物語は、「アラビアンナイト・千夜一夜物語」のパロディー。解雇されかかったトルコ人労働者が、仕事の後、現場監督に毎日面白い話を聞かせることにより、「クビ」を免れようと試みる話である。果たして、シェーラザー
ドのように、試みは上手くいくのだろうか。
Ian Rankin
(英国)
スコットランドのエジンバラを舞台にした、警察小説。主人公は、不思議な過去を持つ刑事、ジョン・リーバス。スコットランドの風景と気質が作品の基調となっている。
Honoré de
Balzac
(フランス)
フランスの文豪による「人間喜劇」の名作「谷間の百合」、これも十代で読んでその後の人生に影響を与えた本。「青春時代の懐かしの名作」シリーズ、第二弾。
Ernest Hemingway
(米国)
「陽はまた昇る」、若い頃読んで感動した作品を今読んでみたらどう感じるか、また日本語で読んで面白かった本をドイツ語で読んだらどうなるか、そんな実験をしてみた。「青春時代の懐かしの名作」シリーズ、第一弾。
Andrea Maria Schenkel
(ドイツ)
一九六二年、レーゲンスブルク生まれのアンドレア・マリア・シェンケルが二〇〇六年に発表した「タンネート、凍える森」は彼女の第一作である。二〇〇七年にはドイツ国内で数々の賞を取り、ドイツのベストセラーのトップに躍り出た本。百七十ページと短い。人々により語られる「証言」により、物語が構成されている。
Colin Cotterill
(英国)
作者のコテリルはユネスコの職員として、永年に渡りラオス、その他アジアの国々で働いていた。一九七六年、共産党が全国を掌握した直後のラオス、そんなまったく馴染みのないシチュエーション。当時はどんな様子で、どのように物語が展開するのか興味深い。
Stieg Larsson
(スウェーデン)
スウェーデンのジャーナリストで作家。ジャーナリストのミカエル・ブロムクヴィストと刺青の女、リザベト・サランダーを主人公にした三部作を執筆。その出版前に心臓発作で他界した。死後発売された本は、スウェーデンのみならず、全世界でベストセラーとなり、映画化もされた。
Paulo Coelho
(ブラジル)
1988年に書かれた「錬金術師」がベストセラーとなる。「錬金術師」、童話とか寓話と考えるには余りにも大規模で、奥が深い。物語の展開も、登場人物も現実離れしているのだが、それでいて妙に生々しい印象を受ける。また、その登場人物の語る言葉も、非常に考えさせられるものがある。なかなか面白く、しかも「人生いかに生きるべきか」の勉強になる小説であった。
Jostein Gaarder
(ノルウェー)
「ソフィーの世界」:ノルウェーの作家、哲学者、ヨスタイン・ゴルデルの作品。この本を読むと、人類の歴史の中に占める哲学の流れが良く分かる。ストーリーも面白いが、西洋哲学の入門書としても最高。
Thomas Kanger
(スウェーデン)
1951年スウェーデンのウプサラ生まれ。ジャーナリストであり小説家。自らの育ったヴェステロス市の警察を舞台にし、女性刑事エリナ・ヴィークが主人公の一連のシリーズを発表している。
Wolfram Fleischhauer
(ドイツ)
ドイツの作家。1961年生まれ。ドイツ、フランス、スペインの大学で文学を専攻。米国カリフォルニアのアーヴィーン大学に留学後、同時通訳として働く。二〇〇〇年以降、作家としても活動。
Frank Schätzing
(ドイツ)
2004年に刊行された長大な海洋SF小説「群れ」(日本語題:「深海のYrr」)がベストセラーとなる。
Audrey Niffenegger
(米国)
ベストセラーとなり、映画かもされた「タイムトラベラーの妻」の作者。ラブロマンスとSFの組み合わせが絶妙である。
Orhan Pamuk
(トルコ)
トルコ唯一のノーベル賞受賞者。イスラム教をベースにしながら、西洋文明のあり方も考えさせる作品を書いている。
Daniel Glattauer
(オーストリア)
1960年生まれのオーストリアの作家。見知らぬ男女間で交わされるEメールの遣り取りという、新しい書簡体の小説は着想が面白いだけでなく、奥も深い。
Jo Nesbø
(ノルウェー)
オスロ警察の「はみだし刑事」ハリー・ホーレの活躍するシリーズ。ノルウェーという辺境の地への興味と、ハリーの度を越えたはみだし方で読ませる。
Siegfried Lenz
(ドイツ)
1926年、東プロイセン、リュック生まれ。平易な文章、ユーモアに富み、押し付けがましさのない作品には好感が持てる。筆者が大学の卒業論文のテーマに選んだ作家でもある。
Håkan Nesser
(スウェーデン)
ホカン・ネッサーは一九五八年生まれ、スウェーデンの作家である。彼は、警視ファン・フェーテレン・シリーズを中心に、多くのミステリーを発表している。スウェーデンの小説は余り民族的な匂いがなく、中立的で万人に対して読みやすい。しかし、ネッサーの小説はそれが更に徹底されている。出てくる土地の名前は全て架空のもので、どこの国かを特定することさえできなないのだ。それでいてリアリティーがある。不思議な作風である。
Anders Roslund & Börge Hellström
(スウェーデン)
スウェーデンの二人組による、ストックホルム警察警視、エヴェルト・グレンスを主人公にした社会派のミステリー。登場人物がそれぞれ皆過去を背負って生きている。透明感のある文章。スウェーデンという土地柄か、民族色が薄く万人に読みやすい。マルティン・ベック、クルト・ヴァランダーというスウェーデン警察小説の系譜もきっちりと受け継いでいる。
(1937年−、ギリシア)
Petros Markaris
作者のマルカリスは、一九三七年元旦、トルコ、イスタンブール生まれ。母親がギリシア人、長くトルコ国籍を持っていたという。オーストリア人の学校に通っており、ドイツ、オーストリアで学んだ経験もあり、ギリシア語、トルコ語、ドイツ語を話し、現在はアテネに在住とのこと。
Silvio Toddi
シルヴィオ・トッディは名前の如くイタリア人である。読み終わって、作者についてインタネットの検索エンジンで調べてみる。出てくるのはドイツ語のサイトのみ。しかも、この「ヴェニスまでの往復切符」に纏わる記事のみ。トッディって、本国のイタリアでは読まれてないの。この本しか書いてないの。そんな疑問が湧き上がる。
Fred Uhlman
画家として有名なウールマンの、数少ない文筆作品。輝きのある作品。
Jan Seghers
フランクフルトの街で活動する警視ロベルト・マルターラーのシリーズ。
Uwe Timm
1940年ハンブルクに生まれる。父が毛皮職人であった関係で、毛皮職人の修行をし、その資格を取る。しかし、1963年に大学入学資格を取り、ミュンヘンとパリで哲学とドイツ文学を専攻。彼の作品は1971年より次第に出版され、数々の賞を受ける。空襲で瓦礫のなったハンブルクと、その中で生きる人々を描く。
「なんでシェークスピアをドイツ語で読むねん?」
「すねてんのちゃう?」
「ええ格好せんときよし。」
「アホちゃうか?」
いやいや、それには訳が。今年、2006年は、シェークスピアに挑戦することを目標とし、一応、英語の原文で読もうと最初努力してはみたのです。しかし、私の英語力ではとても原文には歯が立たない。そんなとき、ドイツ、レクラム文庫の、左側が英語、右側がドイツ語という結構な版が手に入ったのです。読み始めると、ドイツ語訳ばかり読んでしまい、結果的にはドイツ語で読むことになった次第。
ドイツでもシェークスピアは、後世の作家のバックボーンのひとつに数えられている由。数々の名文句もドイツ語で言ったらどうなるのか、そのあたりにも興味があるし。まあともかく、読み始めてみましょう。
J. K. Rowling
これまで、書評こそ書かなかったが、「ハリー・ポッター」シリーズは、本も全部読み、映画も全作見ていた。うちの子供たちの影響が大きいのであるが。正直言って、最近のものは長い。英語で六百ページ。子供向けの本でこの長さ。最新刊は読むのに一ヶ月以上かかった。これを発売された当日、一日で読んでしまった子供がいるという。ネイティヴ・スピーカーはやはり違う。
Agatha Christie
今更クリスティーでもあるまいという気もする。既に読み尽くされ、語り尽くされた作家であることは間違いない。アガサ・クリスティーは、私にとって英語の師である。十数年前、英国に移って来たとき、まず英語に慣れなくてはいけないと思い、クリスティーを読みまくった。慣れない英語で、ある程度のスピードを維持して読むのに、クリスティーの小説は最適だった。特にエルキュール・ポアロのシリーズには完全に「はまって」しまって、殆ど全部読んでしまった。一九二〇年代、三十年代の、いささか古風な英語ながら、私は多くの単語と、言い回しを、クリスティーの作品から学んだ。あれから十年余。久しぶりにクリスティーを読み直してみた。改めて、その面白さを認識した。物語に現実性を持たせるために、その時々の社会現象を取り入れるミステリーが多い中で、そんなことは一切お構いなし、時代、世相を超越したクリスティーが新鮮である。
Martin Suter
はっきり言って、着想も面白いし、ストーリーテリングも秀逸。特に「リラ・リラ」と「スモール・ワールド」は筆者が読んだ中でも、五本の指に入る小説。
Dick Francis
ディック・フランシスが面白いという情報を、ドイツに住むミステリー好きの友人から聞いた。フランシスは元ジョッキーで、競馬界を舞台にした小説を書いているという。先ず一冊読んでみた。面白かった。テンポ、ユーモア、トリック、ロマンス、活劇、どれをとっても一級品である。そのバランスも絶妙である。果たして、私は、いつものようにこの作家の作品を、読破することになるのであろうか。三十冊以上とは、かなり手強い相手である。
Per Wahlöö、Maj Sjöwall
スウェーデンの誇る古典的推理小説、「マルティン・ベック」シリーズを書いたおしどり作家。1960年代に書かれた作品ながら、少しも古さを感じさせない。ヘニング・マンケルへの影響も感じることができ、それも興味深い。
Dan Brown
ミリオンセラーとなった「ダ・ヴィンチ・コード」の作者。博学。読んでいるだけで、雑学が身につきます。
Hans Werner Kettenbach
ミステリーから恋愛小説まで間口が広い作家。小説だけでなく、テレビ、映画、ラジオの脚本も多く手がける。
Henning Mankell
スウェーデンの南の端、イスタドを舞台した、「警視クルト・ヴァランダー」シリーズ。その時々の社会問題を巧みに作品に織り込んでいる。
Helen Fielding
独身女性のバイブルとも言える、「ブリジット・ジョーンズの日記」の作者。
Magdalen Nabb
フィレンツェを舞台にした「警部サルバドーレ・ガルナシア」シリーズ。風采は上がらないが、人間味あふれるガルナシアが魅力。
Donna Leon
ヴェニスを舞台にした「警視ブルネッティ」シリーズ。ブルネッティが汚職と腐敗に満ちた社会と必死に戦う姿には、誰もが共感を覚える。
Patrick Süskind
「香水・ある殺人者の物語」が時代を超えたベストセラーとなる。マスコミ嫌いで有名。「香水」のようにおどろおどろしい小説から、軽い小説まで書き分けの才能は素晴らしい。
Bernhald Schlink
「翻訳者」が世界的ベストセラーとなる。大学で法学部の教授でもある。笑える推理小説「探偵ゼルプ」シリーズなど、ナチス・ドイツ時代について独特の見解を示す。
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